妊娠37週以降の「正期産」の時期に入ってから、お産当日までにみられる兆候は様々です。その中でもよく起きる11の兆候について説明します。また出産の兆候があってから準備しておくとよいこと、避けた方がよいこともあわせて確認しておきましょう。
出産前に見られる兆候
臨月に入ってから出産当日までの間に、様々な出産前の兆候が見られます。
※以下の兆候は、全員が自覚として感じるわけではありません。以下の症状が起きないから異常であったり、感じ方の違いによってお産の進み具合を判断するものではなく、あくまでも目安です。
1. 臨月に起きる出産の兆候
臨月に入ると以下のような身体の変化が起きることがあります。
■つわりが治まる
妊娠後期、子宮が大きくなり胃を圧迫することで起きていた後期つわりが、臨月に入りスッキリと改善されることがあります。胎児が骨盤内に下がり、胃のあたりにスペースができるために起きる兆候です。
■お腹の張りが多くなる
子宮収縮の頻度が増えます。1日に何回もお腹が張り、感じ方も強くなります。一定時間張っても収まるものを前駆陣痛といいます。周期的に10分以内で張りが起きることを、陣痛と言います。お腹の張りによって子宮口がお産に向けて成熟して、胎児の骨盤内の下降を促し、本格的な陣痛の準備をします。
■眠気・体がだるくなる
出産前のホルモンの変化でとにかく体がだるいと感じたり、眠気が強くなる人もいます。
■恥骨が痛む
出産の兆候で恥骨の痛みを訴える妊婦さんは多いです。
リラキシンというホルモンが分泌され、産道を広げるために骨盤の関節が緩みやすくなっています。恥骨の痛みは大きくなった子宮を支えるため、妊婦さんの姿勢が反り腰になることで、より恥骨に負担がかかったり、胎児が下降する段階で腰回りの重だるさとして感じる方も少なくありません。
2. 出産が近いことを知らせる兆候
全員ではありませんが、出産直前になるとよく起きる兆候として、以下のようなものがあります。
■おりものが変化する
おりものの量が増え、前よりもどろっとしたおりものが出る場合があります。逆に水っぽくなる人もいれば、においが強くなる人もいて変化は人によって様々です。
■痛みを伴う子宮収縮
本格的な陣痛がくる前に、生理痛のような痛みが不規則に起きる場合があります。前駆陣痛とも呼ばれます。
■下痢になる
ホルモンバランスの変化で下痢になることがあります。赤ちゃんの頭が骨盤内に下がってくることで、排便に関わる神経が圧迫されて便の性状に変化が起こる場合もあります。
■おしるし
おしるしがあると1〜3日くらいの間で陣痛がくることが多いと言われています。ただ、おしるしがあってから1週間経って陣痛がくる場合もあるので、すべての人に当てはまるわけではありません。
3. お産が始まる兆候
陣痛がくる直前に見られる兆候はいくつかあります。
■胎動の様子が変わる
出産前になると胎動が落ち着くと言われていますが、逆にいつもより胎動が激しいな、と思ったらその後に陣痛がきた、という人もいるようです。ただし全く胎動がなくなることはないので、いつも動く時間に動かない、動かなくなってからずいぶん時間が経っているなどあれば、受診している産院に相談しましょう。
■破水する
陣痛前に破水する人もいます。破水した後、24時間以内に陣痛がくるのが半数以上と言われています。羊水に含まれる物質が陣痛を引き起こすためです。ただ破水により子宮内と外界が繋がってしまったため、感染予防のため抗生剤の投与と赤ちゃんの健康状態の観察のため、入院して経過を見ることが一般的です。破水かと思ったら、産院へ連絡してください。
■吐き気がする
急に吐き気が出てくる妊婦さんもいます。陣痛を起こすオキシトシンというホルモンの作用で吐き気が出ることがあります。
出産の兆候があったら準備しておくこと
お産開始の兆候が見られたら、準備しておくと良いことについてまとめました。
食事をとる
陣痛がくるとなかなか食事を摂れなくなります。食事は有効な陣痛をキープするために大切なエネルギーになりますので、本格的な陣痛がくる前に軽食を口にしておくとよいでしょう。
シャワーを浴びる
陣痛が始まり出産を終えるまで、2日以上かかる場合もあります。陣痛の間隔が短くなく破水もしていなければ、シャワーや入浴で体を清潔にしておくとよいでしょう。
清潔なナプキンをあてる
出産が近くなるとおりものやおしるしが増えるため、清潔なナプキンを当てておくと安心です。
産院に連絡する
陣痛かわからない場合、破水か尿もれか判断がつきにくい場合など、迷うときには分娩先の施設に連絡をしましょう。自分での判断が難しいと感じたときは「こんなことで連絡してよいのかな」と思って遠慮せずに相談してくださいね。
おすすめ情報
出産の兆候があったら避けること3つ
出産の兆候があった場合、いつ陣痛が始まるかわからないため、いつもより慎重に安全な生活を心がけましょう。
車の運転は控える
基本的に妊婦さんは車の運転をしないほうが安全ですが、地域の状況によっては仕方のないことと思います。しかし、特に妊娠後期に入ると運転中に陣痛が来たり、眠気が出ることもあります。
また普段とは違う精神状態のため、判断力が鈍っている状況です。公共交通手段を使ったり、家族など他の人に運転してもらったほうがよいでしょう。
「陣痛タクシー(マタニティタクシー)」などのサービスを提供している会社もありますので、近隣の会社にそういったサービスがないか探しておくことをおすすめします。
長距離の移動
出産の兆候があってからの外出は、産院まで30分以内で到着できる距離にしましょう。経過を知っている施設での出産が一番安全です。また何かあった時に近場にいることで、早期の対応ができる事が、母子の安全なお産には大切です。
過度な労働・ストレス
妊婦さんの体に強いストレスがかかることで胎児に負担になったり、分娩の進行に有効な陣痛が起きにくくなってしまいます。妊娠中は無理をせず、心も体もゆとりのある生活を心がけて過ごしましょう。
《まとめ》
出産前に見られる兆候は多くありますが、これらの兆候すべてが起きるわけではなく人によって様々です。出産の兆候かも?と思ったらいつ陣痛がきても良いように準備を整えておきましょう。また、いつ出産になるのかわからない状況で車の運転をしたり、長距離の移動などは控えましょう。妊婦さんの体に過度の負担がかかるようなことは避け、心も体もリラックスして落ち着いて過ごしましょう。
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