高校卒業後の進路は進学?就職?進路選択で大切なポイント

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高校卒業後の進路で一般的とされているのは、大学・短大進学、専門学校進学、就職、海外留学などです。2022年の実績では、進学する人が最も多く高校卒業者の約8割は大学や専門学校に進学しています。
今回は、進路に悩む高校生や保護者の方々向けに、進路の選択肢や将来就ける仕事の違いなどを解説します。

進学、就職、進路別の割合は?

文部科学省が実施している令和4年度「学校基本調査」(※1)によると、高校卒業後の各進路の割合は以下の通りです。

高校生の進路

  • 大学・短大進学…60.4%
  • 専門学校・公共職業能力開発施設等…21.1%
  • 就職…14.8%
  • その他…4.6%

大学・短大への進学は60%と最も多く、次いで専門学校等20%、就職は約15%です。
大学・短大進学の割合は年々増加しています。
これらの選択肢には、それぞれメリット・デメリットがあります。
自分自身の将来の目標や興味に合った進路を選ぶことが大切です。
それぞれの進路の違いなどを以下、解説していきます。

専門学校と大学の違いは?

大学と専門学校は、学べる分野が同じ場合でも制度面など異なる点も多いものです。
学位や学ぶ範囲などの違いをまとめました。

学位の違い

大学では、学士、修士、博士といった学位を取得することができます。
一方、専門学校では専門的な知識や技術を習得することが主な目的であり、学位を取得することはできません。

学問の範囲

大学は、専攻はあるものの一般教養など広範囲の学問分野をカバーすることができます。
一方、専門学校は特定の分野に特化して学ぶ場です。専攻する分野について深く実践的なことまでを学ぶことができます。

学習期間と費用

一般的に、大学の学習期間は4年間、専門学校は2年間程度です。
在籍期間が長いこともあり、大学の学費は、専門学校の学費よりも高い傾向があります。
ただし、大学は奨学金や助成金などの制度が充実している場合も多く、自己負担を抑えることもできます。

以上のように、大学と専門学校では、学習内容や得られる学位が異なります。
目的や進路に合わせて選びましょう。

高卒と大卒、生涯年収の差は?

高卒での就職と大卒での就職では、就ける仕事に違いがあります。
高卒よりも大卒の方が選択できる職業は広く、生涯年収にも差があるのが就職後の実態です。

高卒の就職事情

文部科学省の調査によると、令和3年卒業の高卒就職者の就職内定率93.4%。(※2)
内定率は大卒よりも高い傾向にあります。
「キャリア教育支援協議会 2021年卒 数字で見る高卒採用の現状」(※3)によると、男女別の就職先の主な職種は以下の通りです。

【男子】

  • 生産工程従事者
  • 建設・採掘従事者
  • 専門的・技術的職業従事者
  • サービス職業従事者
  • 保安職業従事者
  • 販売従事者
  • 輸送・機械運転従事者

【女子】

  • サービス職業従事者
  • 生産工程従事者
  • 事務従事者
  • 販売従事者
  • 専門的・技術的職業従事者

男子は製造業などの生産工程従事者が多く、女子は小売業やサービス業などのサービス職業従事者と生産工程従事者が多いです。

大卒の就職事情

令和4年度の就職率は、大卒95.8%、短大卒97.8%です。(※1)どのような職業が多いのでしょうか。

【大卒の職業別就職者数】

  • 専門的・技術的職業従事者(開発技術者・教員・医療関係・建築土木測量技術者など)
  • 事務従事者
  • 販売従事者
  • サービス職業従事者
  • 生産工程従事者

など

大卒で就く職種を見ると、最も多いのは専門的技術的職業です。
専門的技術的職業には、開発者や教員、研究者、医療関係などが含まれ、全体の4割以上を占めています。(※4)
これらの職種に就くには学士以上の学位が必要な場合が多く、一般的には大卒以上でないと就くのが難しい仕事です。

専門学校卒の就職事情

専門学校を卒業すると、学んだ分野の仕事に就職するのが一般的です。
専門学校卒業後、就職する場合には専攻により就職率が大きく異なります。
「令和2年3月 専門課程卒業者の就職状況調査」(※5)によると、就職率が9割を超えている専攻は以下の通りでした。

【就職率が高い専攻(専門学校)】

  • バイオテクノロジー、その他
  • 看護、理学療法、作業療法、臨床検査、診療放射線、臨床工学
  • 理美容
  • 動物
  • 情報処理、IT
  • 保育福祉

農業関係のバイオテクノロジーから、医療関連、理美容、情報系などの就職率が高いことが分かります。
一方、アニメや美術、語学系、服飾家政系は就職率が5割を下回っています。

専門学校卒業後の進路として、進学する人がいないわけではありません。
調査によると(※5)、専門学校を卒業した学生の進路は、74.6%が就職、進学8.7%です。
主な進学先は専門学校の上級コースが多いものの、大学へ進学する道もあります。

高卒と大卒、初任給と生涯年収の差

高卒と大卒では賃金に差があります。「令和3年賃金構造基本統計調査」(※6)初任給の賃金の差は、下記の通りです。

【初任給の平均賃金】

  • 高卒…18万円
  • 専門卒…21万円
  • 短大卒…20万円
  • 大卒…23万円
  • 大学院卒…25万円

高卒と大卒では、初任給で平均月5万円の差があります。大学院卒と高卒の差は、月7万円にもなります。
さらに生涯年収をみると、大卒と高卒の差はさらに大きく感じられるかもしれません。
労働政策研究・研修機構が公表している「ユースフル労働統計2021」(※7)によると、学歴別の生涯年収は以下の通りです。

【学歴別生涯年収】
男子
高卒…2億1000万円
高専・短大卒…2億2000万円
大学・大学院卒…2億7000万円

女子
高卒…1億5000万円
高専・短大卒…1億8000万円
大学・大学院卒…2億2000万円

※7 ユースフル労働統計 2021より
(学校卒業後60歳までフルタイム正社員で勤続した場合)

高卒と大卒の生涯年収の差は、男子で6000万円、女子で7000万円です。
こちらは、フルタイム正社員で勤続し続けた場合の賃金の試算です。大卒・高卒の差は1,000人以上の大規模な企業に就職した場合、特に大きくなっています。
しかし、企業規模 10~99 人の企業に就職した場合、男子の生涯年収は大卒・高卒の差は大きくありません。どのような企業に勤め、どのような仕事をするかによっても変わるため、あくまで目安のひとつとしてご参照ください。

大学は入りたいと思った時点で試験を受けて入学することができます。
高校卒業時点で大学進学を選択しない場合でも、社会人になってからチャレンジしたり、専門学校や短大卒業後に大学に編入したりすることも可能です。さまざまな選択肢を頭に入れておくのもよいでしょう。

最後に

高校卒業後の進路には、大学や専門学校への進学、就職などさまざまな選択肢があり、誰しも一度は迷うのではないでしょうか。
今やりたいこと、その先の就職、将来設計を踏まえてよく考えることが、進路選択のポイントです。
大学へは、入りたいと思ったときに試験を受けて進学することができます。
高校卒業のタイミングで大学進学を選ばなかったとしても、学びたいことが決まったら、費用が貯まったらなど、自分のタイミングでチャレンジすることもできます。
高校卒業後の進路選択はその後の将来に影響するものの、その時点の選択で人生の全てが決まるではありません。
周りに相談しながら、家族で話し合いながら決めていけるとよいですね。

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