医者になるには、医師国家試験に合格して医師免許を取得する必要があります。
医師国家試験の受験資格を得るには、6年制大学の医学部医学科に進学するのが一般的です。
今回は、医者になるためのルートや医学部受験の特徴、合格のための勉強量について、詳しく解説します。
医者を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。
※「医者」と「医師」は少し意味が異なりますが、本記事に限り全て「医者」で統一しています。
医者になるには?
医師になるには、医師法第二章第二条で定められた「医師国家試験」に合格し、医師免許を取得する必要があります。一般的には、6年生制大学の医学部医学科に進学し、基礎・臨床医学の知識と実習を経て臨床技術を身につけてから、卒業と同時、または卒業後に国家試験を受験して資格を取得します。
医師国家試験の受験資格
医師国家試験を受けるには、受験資格が必要です。医師法に定められている、医師国家試験の受験資格をわかりやすくすると以下の3つに分類できます。
・6年制大学の医学部医学科を卒業、または卒業見込みの者・医師国家試験予備試験に合格し、その後1年以上の診療および公衆衛生に関する実地修練を経た者・外国の医学校を卒業、または外国で医師免許を取得し、厚生労働大臣が学力と技能、適当性を認めた者(参考:医師法(昭和二十三年法律第二百一号)) |
6年制大学の医学部医学科を卒業する以外には、外国で医師免許を取得してから受験資格を得るという方法もあります。外国で医師免許を取得した場合は、医師国家試験予備試験を受けて合格するか、厚生労働省の認定を受ける必要があります。
つまり、留学予定がない人は日本の医学部を卒業すること、外国の医学校へ進学する人は医師免許取得後に要件を満たすことで、医師国家試験の受験資格を手にすることができます。
医者として活躍するまでのルート
医者になるためのルートは、日本で学ぶ方法と外国で学ぶ方法の大きく2つです。ここでは、最も一般的な「日本の医学部を卒業して医者になるルート」について詳しくご紹介します。
日本の医学部では、6年間かけて医師になるための学習を進めます。カリキュラムは下記のようになっています。
医者になるためには、大学を卒業してからも病院などで研修を受ける必要があります。大学を卒業してから、医師や医学研究者になるまでの流れは以下の通りです。
高校
医者を目指す場合、大学は6年制の医学部医学科を目指す必要があります。医学部入学に求められる学力は非常に高いため、他の学部受験生に比べて勉強量が多くなると予想されます。大学によって受験科目はさまざまですが、理系科目の学習が重要で、特に数学や化学、物理、生物の学習は欠かせません。また、医学の専門用語を理解する上で必要になる英語の学習も重要です。医学部受験を成功させるためには、高校時代から計画的で効率的な学習が大切です。
大学
カリキュラムは大学ごとに異なりますが、一般的には1~4年次で臨床実習前の教育を受け、共用試験合格後、5~6年次で臨床実習を行う流れです。
1年次では教養と医学導入を学び、2年次には基礎科目(人体構造総論、解剖学、生理学、組織学等)を履修。この時期には「早期体験実習」が行われ、患者の状態や医療従事者の仕事も学びます。3~4年次では病気に関する知識を深め、現場で活躍できるスキルを磨きます。5年次になると臨床実習が始まりますが、臨床実習に行くためには「共用試験」に合格しなければなりません。共用試験には2つの形式があり、コンピューターを用いて知識を測る「CBT」、模擬患者を対象に技術や態度を評価する「OSCE」という試験が設けられています。最終年の6年次では、実習を続けながら包括的医療や地域医療に関する講義を受け、学びを整理します。医学部医学科では、6年間を通じて医者として必要な幅広い知識と技術を身につけます。
【医学部医学科の授業科目例】
1年次:医学導入/教養部講義2年次:人体構造総論/細胞生物学/神経生理導入/生理学/組織学/人体解剖学など3年次:東洋医学/腫瘍学/法医学/行動科学/衛生学/公衆衛生学など4年次:公衆衛生学/生殖・発達/救急・麻酔/臨床導入学習/研修実践プログラムⅢなど5年次:臨床実習Ⅰ/研修実践プログラムⅣ6年次:臨床実習Ⅱ/包括医療統合教育/研修実践プログラムⅤ/地域医療学習プログラム |
臨床研修
医学部を卒業し医師国家試験に合格すると、臨床研修が始まります。臨床研修は、基本的な診療能力の習得を目的としており、医師法によって2年以上行うことが義務づけられているものです。
初期臨床研修 | 各診療科の基本的な知識や手技を学ぶ |
後期臨床研修 | 専門科を決め、専門的な知識・手技をさらに深く学ぶ |
研修中は「研修医」と呼ばれ、まずは「初期臨床研修」という、各診療科で必要な基本的知識や技術を学ぶ研修を2年間行います。その後は、「後期臨床研修」に進み、専修医として各専門分野のスキルを磨きます。後期臨床研修に入ると、「専修医」とも呼ばれるようになり、専攻した診療科に特化した専門的な知識や技術に関しての学びや経験を積んでいきます。後期臨床研修が修了すると専門医となり、いよいよ、医師としての仕事がスタートです。
医学部受験の特徴
医者になるための入り口とも言える「医学部」への進学。ここでは、医学部の受験の特徴について詳しく解説します。
大学の数
2022年度時点で、医学部のある大学の数は82です。そのうち、国立大学が42大学、公立大学が8大学、私立大学が31大学、準大学である防衛医科大学校が1大学となっています。防衛医科大学校は防衛省によって設置され、防衛医療に特化した医療人材の養成を行っている大学です。防衛医科大学校を卒業した医師は、幹部自衛官(医官)として自衛隊に勤務します。
受験科目
多くの大学が医学部の受験科目として、外国語、数学、理科2科目を必須としています。国公立大学の場合は、大学入学共通テストの受験が必須です。国語・社会を含む5教科7科目の勉強が欠かせません。国公立大学の選抜方法は「2段階選抜」。第1段階の選抜基準に合格しないと、個別試験を受けられないこともあります。また、小論文や面接を設けている大学もあります。
幅広い知識と高い学力が求められる医学部の受験では、各大学の受験科目をしっかり把握し、全教科をバランスよく勉強することが大切です。
難易度
医学部受験は、他の学部に比べて難易度が高くなります。医学部受験者の偏差値は70前後であり、最低でも偏差値65以上が望ましいとされています。また、大学入学共通テストの合格ボーダーラインも高く、国公立大学医学部合格に必要な全体の得点率は75~85%程度とされています。入試方法が2段階選抜であることや科目負担が大きいことを含めると、国公立大学の医学部受験は、私立大学の医学部受験よりも難易度が高い傾向です。医学部に合格するには、高い学力が必要です。
医学部に入るために必要な勉強量
高校3年間で5,000時間(授業時間を含めない) |
医学部合格には、高校3年間で5,000時間以上の勉強時間が必要とされています。難易度の高い医学部に現役で合格するには、高校1年生から基礎学力を身につけるのが鍵。入学したばかりは学校生活に慣れないかもしれませんが、平日2時間、土日5時間を目安に、徐々に勉強時間を増やしていきます。1年生のうちから勉強習慣をつけておくことで、のちのちのハードな受験勉強に対しての精神的負担を軽減できます。
高校2 年生では平日3時間、土日8時間を目安に、高校3年生では平日4時間、土日10時間の勉強が望ましいでしょう。また、高校3年生の早期には全科目の出題範囲を網羅し、残りの時間を受験対策に充てるのがポイントです。受験大学の傾向を把握し、苦手分野を克服して安定した点数を獲得できるように計画的に勉強を進めましょう。
計画的な勉強で医者を目指そう!
今回は、医者になるための方法や医学部受験について詳しくご紹介しました。医者になるためには、難易度の高い「医学部受験」を突破するのが第一歩。高い学力が必要とされる医学部受験ですが、医学部入学後の6年間の膨大な勉強や医師国家試験の合格、臨床研修など、医者になるまでの長い道のりを考えると、医師に高い学力が必要であることは納得です。医学部を目指す学生さんは、高校1年生のうちから勉強の習慣を身につけて、計画的なスケジュールで勉強を進めていきましょう。
苦手分野がある方や志望校に合わせた学習を進めたい方は、予備校に通うのもおすすめです。「メディカルラボ」では、1対1の完全個別指導を行っています。生徒1人ひとりに合わせたカリキュラムで、苦手科目・単元の克服から合格に必要な学力の底上げまで、効率的な受験勉強をサポートします。予備校も活用した計画的な受験勉強で、医者を目指しましょう!
コメント