香典返しをいただいたらお礼はどう伝える?適切なお礼のマナー!

香典返しをいただいたら、お礼はどう伝えるのが適切なのでしょうか?故人が亡くなり、 悲しみの渦中にいたり、落ち着かない状況にあったりするご遺族に対し、どのようにお礼の気持ちを伝えれば良いのか迷われる方もいらっしゃるでしょう。

そもそも香典返しにお礼は必要?

基本的に香典返しへのお礼は、必要ありません。

香典返しとは、故人にたむけて頂いた香典に対し、「お礼の気持ち」と「忌明けのご報告」にお送りするもの。忌明けから1か月を目途に、本来は直接訪問してお届けします。しかし昨今では、配送するのが一般的。「手元に届いたことを伝えたほうがいいのではないか」と思われるのも無理はありませんが、香典返しへのお礼はしないものです。

なぜなら、香典返しがそもそも「香典へのお礼」であるからです。お礼に対して物を贈るなどしてお礼をするとなれば、お礼のループになってしまいます。これでは、いつまでも忌が明けないことにもなりかねません。弔事をひと区切りする意味でも、香典返しにお礼は不要なのです。

香典返しのお礼を伝えたい場合

ただ、香典返しのお礼は不要といっても、故人やご遺族との関係によっては、お礼を伝えたいという方もいらっしゃるでしょう。その場合は、香典返しに頂いた品物へのお礼ではなく、香典返しをお送りくださったという行為に対してのお礼という考え方をしてはいかがでしょう。

つまり、「〇〇を頂き、ありがとう」「結構な〇〇をありがとう」ではなく、香典返しを送ってくださった「お気遣い」や法要が無事に済んだ「ご報告」に対するお礼ということです。その気持ちで、「香典返しが届いた連絡」と「労りの言葉」を簡潔にお伝えする。お礼を伝えたいならば、この2点が肝心です。

さて、その伝え方ですが、手紙・葉書、電話、メールが考えられます。先方との関係性によって、適切な手段を選びましょう。お礼を伝える際に注意するべきことは、どの手段においても共通しています。次にまとめましたので、確認してください。

香典返しのお礼を伝えるマナー(1)「ありがとう」はNG

代わりに「恐れ入ります」「恐縮です」を使いましょう。「ありがとう」という言葉には、どうしても喜びや嬉しさが滲みます。弔事において「ありがとう」を使用しないのは、ご遺族への思いやりと言えるでしょう。

香典返しのお礼を伝えるマナー(2)重ね言葉は使わない

「いよいよ」「ますます」「重々」「くれぐれも」「わざわざ」という重ね言葉は、不幸を重ねることに通じます。手紙・葉書やメールであれば見直しができますが、電話の場合は口から出てしまったら取り消す事ができません。特に注意が必要です。

香典返しのお礼を伝えるマナー(3)頂いた品物を褒めない

「いい物を頂いて」「大好物です」「素敵な物を頂き」など、頂いた品物を褒めたり、喜んだりしてはいけません。忌明けのお知らせとはいえ、あくまでも弔事です。ご遺族の気持ちを慮ることが大事です。

香典返しのお礼を伝えるマナー(4)簡潔にまとめる

伝えることは「香典返しが届いたこと」「ご遺族への労りの気持ち」の2点です。長々と書き連ねたり、おしゃべりに興じたりするのは相応しくありません。

香典返しのお礼の伝え方(手紙・葉書)

手紙や葉書で香典返しのお礼を伝えるメリットは2点あります。ひとつは、先方の時間を取らないこと。そして、礼を失することなく気持ちが伝わることです。弔事では、日本古来の習慣にのっとった丁寧なやり方がことさら尊重されます。その意味で、手紙や葉書は最も丁寧に心配りをお伝えできる方法と言えます。PCや携帯メールの普及で、画面に入力された文字を目にすることが多い昨今、手書きの文字が綴られた手紙や葉書はご遺族への慰めにもなるでしょう。

デメリットとしては、手紙や葉書の到着までに時間がかかることです。香典返しが届いた翌日には投函できるのが望ましいでしょう。

香典返しのお礼で使用する手紙や葉書に、特に決まりはありません。ただし、赤やピンクなどおめでたいイメージの色は避けましょう。また、便箋の2枚重ねや2重封筒は「重ねる」ことから、避けたほうが無難です。

とはいえ忌が明け、普段の生活になっていく過程ですから、薄墨を使う必要はありません。この時期、無事に忌明けを迎えたご遺族は、法要を終えた安堵感と共に改めて寂しさを感じる頃でもあります。無地の白一色のレターセットは一般的ですが、相手の気持ちを想像して手紙や葉書を選んでみてはいかがでしょう。薄紙のブルーの便せんに手触りの良い上質な封筒、あるいはたった一輪、控えめに季節の花があしらわれた便せんなど、自分のために選んでくれた気持ちが感じられる特別なレターセットがおすすめです。

葉書も同様ですが、絵手紙などの心得があるのであれば、それもご遺族への大きな慰めになるのではないでしょうか。

手紙・葉書で香典返しのお礼を伝える例文

・一般的な例拝啓1
穏やかに秋が深まる頃2、〇〇様(ご家族様)におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。さて本日、お返しのお品を頂戴しました。大変な中、このようなお気遣いに恐縮しています3。お疲れの出る頃と存じます。どうぞご自愛くださいませ4。略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます。

敬具1

(注)
1. 頭語・結語は入れなくても良いですが、入れる場合はセットで入れます。
2. 時候の挨拶
3. 香典返しが届いたことへのお礼
4. 相手を気遣う言葉

・友人など親しい相手の場合 ※頭語・結語はなくてもOK前略
今日ご供養のお品が届きました。お心配りを頂き、恐れ入ります。季節の変わり目、どうぞ健康に留意してお過ごしくださいませ。落ち着かれたらまた、お茶でもご一緒しましょうね。

草々

香典返しのお礼の伝え方(電話)

ある程度親しい間柄の相手には、電話で香典返しのお礼を伝えるのも良いでしょう。電話で伝えるメリットは、なんといってもそのスピードと生の声が持つ親近感です。香典返しが届いたことを迅速に報告できることはもちろん、遺族にとって、例えば親戚や親しい友人からの電話はそれだけで慰めや励ましになるでしょう。

ただし、電話はやり直しができません。失礼なことや思ってもいないことを口に出してしまう危険性もはらんでいますので、十分な注意が必要です。伝えたいことやNGワードをあらかじめメモしておくなど、事前にしっかりと準備して電話をかけましょう。また、電話は相手の時間を奪ってしまうことを忘れてはいけません。電話をかけた際にはまず、「今、お話しても大丈夫ですか?」と確認するようにしましょう。

香典返しのお礼の伝え方(メール)

普段からメールでやり取りしている友人であれば、香典返しのお礼をメールで伝えても問題はないでしょう。ただし、これは本当に親しい間柄のみ。年配の方の中には、軽すぎる・失礼だという印象を持たれる方も少なくありません。

メールのメリットは、相手の都合の良いタイミングで読んでもらえたり、返信してもらえたりすることです。最も簡潔にやり取りできる手段ですが、あくまでも簡易な方法であることを踏まえて、最初か最後に「メールで失礼します。」「メールで失礼しました。」と入れておくと良いでしょう。また、「返信をしなくては」という相手の気持ちの負担を減らすため、「返信は不要です。」の一文を添えることも忘れずに。

メールで香典返しのお礼を伝える例文

前略
こんにちは、〇〇です。メールで失礼します。
今日、忌明けのお品物が届きました。お気遣いにかえって恐縮しています。
その後どうしているかと思い、メールしてみました。
いろいろと大変かもしれませんが、無理せずお体を大切にね。
返信は不要です。

香典返しのお礼を伝えておくべき相手

前述した通り、香典返しのお礼は、しなくても失礼にあたるものではありません。しかし、「香典返しを送ったのに連絡もしてこない」と思う人がいるのも事実です。

「届きました」とお伝えしておいたほうが良い相手としては、第一に「親戚」が挙げられます。特に目上の親戚や義理の両親などには連絡をしておきましょう。この場合は電話で構いません。

次に職場関係の方々です。上司の場合は手紙や葉書で連絡するのをおすすめします。同僚や仕事相手であれば、メールなどの通常連絡で互いに使用しているツールが良いでしょう。

香典返しを辞退する場合の適切な伝え方

香典返しを辞退するケースとしては、2パターンが考えられます。故人やご遺族ととても親しく、多少なりともこれからのご遺族の生活がたちゆく手助けになるようという考えから辞退する場合。もうひとつは、連名で香典を包んだため、ひとり当たりの金額が少額である場合です。

いずれの場合も、香典の内袋に「香典返しはご辞退申し上げます」や「お返しのご配慮は不要でございます」などと書いた紙を入れておく、あるいは自分の名前のヨコに添えるなど、口頭ではなく文字でお伝えすることが大事です。

香典返しを辞退した場合のお礼状に対する連絡

香典返しの辞退を受けたご遺族は、お礼状のみお送りするのが一般的です。そのお礼状を受け取っても、それに対してのご連絡は不要です。

ただ、これまでお伝えしてきたことと同様、お礼状を受け取ったことをご報告したい、ご遺族へ慰めの気持ちを伝えたい場合はご連絡すると良いでしょう。

まとめ

日本では古くから、冠婚葬祭におけるしきたりが大切にされてきました。その中でも「葬」に関するしきたりには、故人を偲び、遺されたご遺族の気持ちに寄り添う心にあふれています。香典返しへのお礼も然りでしょう。香典返しへのお礼は、お礼を伝えるという本来の役割だけでなく、ご遺族の様子を伺うきっかけにもなります。だからこそ、「香典返しが届いたこと」に加え「ご遺族への労りや慰め」を伝えるという2点がポイントです。

世の中の流れにより、マナーも時代に合わせて変わりゆく部分があるのは事実です。しかしその本質は変わることはありません。マナーは思いやり。相手への気持ちを表現する形式なのです。

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