睡眠の質を上げる「最高の睡眠メソッド」10ヶ条まとめ

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多くの人は、なかなか寝付けない、しっかり寝たのに眠い・疲れが取れない、途中で目が覚めてしまう、スッキリ起きられない、日中眠くなる事が多い、いびきが酷いなど、何かしらの悩みを抱えているのではないでしょうか。

多くの人が悩みを抱える睡眠

私たちは、健康になるための栄養バランスの取れた食事や、ダイエットのためのトレーニングやストレッチ法、ダイエットグッズ、美容のための化粧品、頭を良くするための勉強法・暗記術などに気を配る一方、殆どの人は毎日欠かさずする“睡眠”についてはそれほど気にかけてないと思います。また、悩みを解決しようと情報収集をしても、巷には不正確であったり、誤った情報が沢山あり、誤った情報をもとに睡眠改善プログラムを実践した結果、変わらないならまだしも悪化してしまうこともままあります。そこで、睡眠研究の総本山であるスタンフォード大学で睡眠に関する研究所の所長を務める西野精治先生(スタンフォード大学医学部教授、スタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長)がオススメする、「最高の睡眠メソッド10ケ条」を紹介します。

最高の睡眠とは?

ちなみに、最高の睡眠とは何だと思いますか?

最高の睡眠とは、「脳・体・精神」を最高のコンディションに整える、「究極的に質が高まった睡眠」のことです。睡眠時間の長さではない点に注意して下さい。短すぎても体に良くないですが、長すぎても良くないという研究結果も報告されています。

また、睡眠と覚醒(パフォーマンス)は表裏一体で、最高の睡眠を取れば、最高の覚醒(パフォーマンス)を得られます。反対に、良くない睡眠だと良くない覚醒(パフォーマンス)となってしまいます。人生の1/3の時間を費やす睡眠は、残りの2/3の時間を活動的に過ごすための重要な準備/片付け時間に当たり、非常に重要であると言えます。言い換えれば、睡眠を制する者が人生を制すと言っても過言ではありません。

“睡眠の質は何で左右されるか?”  睡眠の質は、眠り始めの90分で大きく左右されます。その最初の90分をいかに深く眠るかが重要なポイントです。

以下、1日を通じた睡眠メソッドを紹介します。

是非、今日から試してみてください。

-Morning-

朝は主にその日一日の活動性を高めるため、覚醒を促進します。

第1条 起床時間を固定し、アラームは2段階で設定する

2度目のアラームは、1度目の20分後で設定しましょう。1回目の設定は、「ごく微音で短く」設定する事がポイントです。例えば、11時に寝て7時には起きる場合、6時40分と7時にアラームを設定します。1度目のタイミングで起きれなくても大丈夫です。深い睡眠時に無理に起こしてしまうと、目覚めてもぼーっとして目覚めが悪く頭が働きません。すっきり目覚めるためには浅いノンレム睡眠やレム睡眠時に起きる必要がありますが、朝方にはノンレム睡眠が短く、レム睡眠が長くなります。健康な睡眠のパターンでは明け方には自然とレム睡眠や浅いノンレム睡眠が多くなり、1度目のアラームで起きれなくても、2度目のアラームで目覚めることが出来ます。

第2条 太陽の光を浴びる

目が覚めたらまず最初にカーテンを開けて日の光を浴びましょう。人の体内時計は24時間より少し長く、油断するとリズムが後ろ倒しになる傾向がありますが、朝の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、そのズレを調整することが出来ます。

ですから、目が覚めたらまず最初に寝室のカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。光を浴びることで、体に朝であること知らせ、体内時計が毎朝リセットされます。太陽の光には、覚醒効果や気分の高揚効果もあり、日中に浴びることによるメリットは多いです。

また、晴れの日に限らず雨や曇りの日でも、充分な光量がありますので、日中はなるべく外で活動すると良いでしょう。

逆に、夜間、特に就寝前には強い室内灯を浴びないようにして、睡眠やリズム調節にかかわるメラトニンの分泌を光で抑制しないようにすれば、良眠がおとずれ、すっきりと目覚めることができます。

第3条 咀嚼を重視した朝食を摂る(あたたかい汁物があると更に良し)

朝ご飯は、よく噛む必要のある食べ物を積極的に食べましょう。朝食を食べることには多くのメリットがあります。咀嚼を重視した朝食を食べることで、感覚神経への刺激や咀嚼という運動を通じて覚醒が進んだり、一日の始めにエネルギーの補給が出来ます。また、朝が一番脂肪が燃焼されやすいため、食事をしつつも朝食を抜くより肥満防止効果が高かったり、日の光を浴びることと同様に体内時計のリセット効果があったり、咀嚼により記憶力が向上したり、一日のメリハリが出来たり、等と良いこと尽くしです。

咀嚼性を高めるために、食材の切り方を大きめにしたり、白米に栄養価の高い雑穀米を混ぜるなどの一工夫でより効果的になります。また、温かい汁物があると更に覚醒が効果的になります。覚醒には、臓器などのなる体内中心部の温度(深部体温)の上昇が必要ですが、温かい汁物は深部体温を若干上げるため、覚醒が進みやすくなります。

-Afternoon-

昼前後は眠くなりやすいですが、その際の対処法についてご紹介します。

第4条 パワーナップ(15分~30分程度の仮眠)をとる

日中(特に昼過ぎ)に眠くなることがありますが、眠くなったときに少し時間の余裕があるのであれば、睡眠圧に従ってパワーナップする事がお勧めです。パワーナップとは15分~30分程度の仮眠のことですが、パワーナップによりリフレッシュされ、パフォーマンスが回復することは以前より分かっていましたが、パワーナップにより認知症(約1/7)や糖尿病のリスクが減少したり、疾患リスクも下げることは最近話題になっています。但し、寝れば寝るだけ良いわけではなく、1時間以上の昼寝をした場合は、認知症リスクが2倍になってしまうという報告もあります。数時間の昼寝をしてしまう場合は、睡眠リズムを崩してしまうだけでなく、睡眠負債が溜まっている証拠なので日頃の睡眠習慣を見直す必要があります。

第5条 冷たいものを持つ or 冷水で手や顔を洗う

第4条では睡眠圧に従った行動としてパワーナップをお勧めしましたが、眠れる環境ではない場合も多いと思います。眠気覚ましをして睡眠圧を軽減する別の方法として、ペットボトルなどの冷たいものを持ったり、お手洗いで手や顔を洗ったりしてみて下さい。ひやっとするこの刺激や皮膚温度の低下が、睡眠打破に効果的です。他には、ミントなどのリフレッシュ効果のあるガムを噛んだり、カフェイン(覚醒成分)の入った飲食物(例えば:コーヒー、お茶、GABA入りチョコ)を摂ったりすることも効果的です。

また、一般に昼食の有無に関わらず、生体リズムの影響によって午後2時頃に眠くなる現象(アフタヌーンディップ)があります。そのため、その傾向が強いのであれば、2時頃に重要なこと(会議、プレゼン等)を避けることはミスの予防策となります。ただ、昼間によく眠気を感じるのは、睡眠負債が溜まっているためです。日中の眠気を改善するには、睡眠負債を解消することが重要です。

-Evening-

ここからは入眠までの準備として気を付けるべきポイントなどを紹介します。

第6条 冷やしトマト(深部体温を下げる食品)を食べる

前提として、栄養価のあるバランスの取れた食事を摂ることは大切です。偏った食事や暴飲暴食は、必要な栄養素が不足し、理想的なホルモン分泌や組織の再生がなされなかったり、消化不良や肥満、アルコール中毒、さらには生活習慣病などの疾患に繋がるため気を付ける必要があります。また、睡眠には皮膚温度を上げ、深部体温を下げることが必要ですが、そのために体を冷やす作用のある食品を食べることがおすすめです。体を冷やす効果のある食材を冷やして食べればより効果的です。一般的にはトマトやキュウリなどの夏にとれる野菜は体を冷やす効果があると言われています。

また、ダイエットなどで夕飯を抜くと、食欲増進および覚醒促進に働くオレキシンというホルモンが分泌され、入眠を阻害するため、なるべく軽くでも夕飯を食べるようにして下さい。また、食べる際は、消化吸収のため就寝の2時間前までを目安にして下さい。

第7条 就寝90分前に入浴<炭酸泉> or すぐ寝るときはシャワーにする

入浴ですが、就寝の90分前に入浴を済ませるのがお勧めです。体温には皮膚温度と深部体温がありますが、睡眠には皮膚温度と深部体温の差が縮まる(2℃以内)、つまり最終的に皮膚温度が高く深部体温が低くなることが重要です。そのために、まず皮膚温度・深部体温を上げて、次に熱放散して深部体温を下げることが必要になりますが、入浴が最も効果的な手段になります。90分前という時間は、通常の入浴で、一次的に上昇した深部体温が元の体温に戻るまでに要する時間です。元に戻った体温は、その後も下降していくため自然と眠くなります。一般的には40度程度のお湯で、10-15分程度半身浴をするとよいですが、炭酸泉やナトリウム泉などがより効果を高めてくれます。炭酸泉は、入浴後ののぼせ等の疲労感が生じにくいため、デメリットもなくお勧めです。

就床するまでに時間がないときは、深部体温の上昇を避けるため、シャワーにしましょう。また、足湯の効果も絶大で、入浴と類似の効果が期待できます。

第8条 スマホ(電子機器)を排除する

つい就寝前も携帯やPCを触ってしまいがちですが、短い波長のブルーライトを浴びることで、覚醒度を上げ、睡眠ホルモンと呼ばれる“メラトニン”の分泌が抑えられ、眠りにくくなってしまうため、スマホやPCなど(LEDが使用されている電子機器類)を就寝前に触るのを控えましょう。ブルーライトを軽減する夜間モードに設定して使用しても、スマホの操作により脳が覚醒し、眠る準備が整いません。腹ただしいメールや、気になるメールを一通開けるだけで朝まで眠れないこともあります。

また、全体的に日本の家庭・レストランなどは照明が明るすぎる傾向があるため、暖色系の間接照明で空間を照らすように切り替えるとより睡眠に適した空間になります。

枕元の照明を付けたまま寝る人もいますが、実験的には一般的な夜光(約10ルクス)でもメラトニンの合成阻害を引き起こすため、フットライトや離れたところでの小さな間接照明などにするのが適切です。

第9条 入眠時間を固定する

良い睡眠習慣によって、眠り始めの90分で深い睡眠が取れ、疲れがとれ脳のゴミが排泄されます。入眠時間を固定することにより、入眠直後に深い睡眠が出現します。

しかしながら、飲み会や残業、プライベートな用事など、毎日同じ時間に入眠するのは難しいこともあるかと思います。それらを考慮して、自分の基本の寝る時間「入眠定時」を設けると良いでしょう。

また、明日が早いからいつもより早く寝ようとしても、なかなか寝られない経験がありますが、それは入眠の直前に脳が眠りを拒否する「フォビドンゾーン(進入禁止域)」に強く影響されている可能性が高いです。不思議な現象ですが、通常就寝する時間の直前から2時間前ぐらいまでが最も眠りにくいとされています。そのため、翌日が早い時は、睡眠時間が少し短くなりますが、寝る時間はいつも通りで起きる時間を早めれば、入眠しやすく且つ深い睡眠がとれ、睡眠の質が確保されます。

第10条 裸足で寝る&靴下は脱ぐ

特に冷え性の人は寒くて寝れないために、靴下を履いて寝ようとしますが、それは逆効果です。靴下を履いて寝たりすることはやめましょう。少なくとも寝る直前までに脱いで下さい。

入眠には、手足から熱を逃がすために皮膚温度が高くなることが必要ですが、靴下を履くと足に熱がこもり、熱が逃げません。冷え性の方は、マッサージや靴下を履くことで足を充分温めた後、靴下を脱いで入床して下さい。

靴下よりも効果的で入浴に似た効果が期待できる“足湯”も効果的です。入浴と異なり、深部体温を上げるのではなく、熱放散へのアプローチなので、寝る直前に行うのがおすすめです。

また、日頃の運動不足や不摂生な食生活、過度な禁煙・飲酒など、血行が悪くなり冷えに繋がるため、根源的な冷えの原因の解決を行なうことも大切です。

睡眠に悩んでいる方はまずは上記10ヶ条を取り入れてみて下さい。症状が重い場合やあまり改善がみられない場合は、速やかに睡眠専門医の診察を受けましょう。

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